学会発表の抄録をAIで作る手順【Claude・ChatGPT・Gemini・NotebookLM活用】


学会発表の準備に、どのくらい時間をかけていますか?

2週間、場合によっては1ヶ月。それが当たり前になっていませんか。

私もそうでした。抄録を一行ずつ書き、推敲して、印刷して上司に見せて。「語尾をである調に統一して」と言われてまた一から直す。その繰り返し。

今は違います。考えがまとまりさえすれば、抄録もスライドも2時間で完成

この記事では、私が実際に使っているAIツール(Claude・Gemini・NotebookLM)と手順を、プロンプト例つきで公開します。


発表準備にかかっていた時間、正直に言います

私が発表したテーマは、通所リハでの検温表の自動化。

体温・血圧・脈拍・SPO2など、利用者さんが来たときに測定するデータを、以前は紙に手書きで記録していました。月150枚分をナースが手作業で準備。その手間をExcelマクロで自動印刷できる仕組みに変えた取り組みです。

「発表テーマはある。でも文章にするのが大変」——そういう経験、心当たりありませんか。

私が特に時間を取られていたのが、語尾の統一

上司から「ですます調をである調に変えて」と一言。A4一枚の抄録でも、語尾を1箇所ずつ確認・変換・見直しするだけで10〜30分。内容の修正に入る前の消耗です。


AIを使った発表資料作成の全体フロー

工程は4ステップ。まず全体像から。

AIを使った発表資料作成の流れ

最大のポイントは、ゼロから会話しながら作ろうとしないこと。先に自分でまとめてから投げる。この順番が仕上がりを左右します。


STEP 1:まずWordに「伝えたいこと」を整理する

AIに渡す前の準備が、仕上がりの8割を決めます。

ゼロから「抄録を作って」と頼むと、AIは一般論をそれらしく組み立てます。あなたの発表である必然性が薄い仕上がりに。

先に自分のまとめを用意してから渡す。そうするとAIは「文章を整える役」に徹してくれます。

書いておくべき項目(箇条書きで十分):

  • 発表のテーマ・タイトル
  • 背景・問題意識(なぜ取り組んだか)
  • 自分のアセスメントとデータ
  • 結果・考察
  • 伝えたい結論・メッセージ

完璧な文章は不要。メモ書きでOK。「こういうことを言いたい」が伝われば、あとはAIの仕事です。


STEP 2:抄録をClaude・Geminiに作ってもらう(プロンプト例公開)

整理したテキストを、そのままAIに貼り付けます。

私が使っているプロンプトはこれです。

以下の内容をもとに、学会発表用の抄録を作成してください。

構成は「はじめに→目的→方法→結果→考察→まとめ」の基本形で。
論理の破綻がないか確認してから文章にしてください。
文体はである調で統一してください。

【発表テーマ】
(ここに入力)

【伝えたい内容】
(Wordにまとめたテキストをそのまま貼り付け)

肝は「論理の破綻がないか確認して」の一文。 これを入れると、因果関係のおかしい箇所や飛躍をAIが自分でチェックしながら書いてくれます。入れないとスルーされることも。

初めて使ったとき、まず驚いたのが文字数の精度。「800字以内で」と指定するとほぼその通り。多すぎず少なすぎず、適切な分量への調整は思いのほか便利でした。

論理の流れや構成は、自分でゼロから書くより整理されていることも多い。修正したのは細かい表現のニュアンスだけ。「ここは自分ならこう言う」という箇所を直す、それだけで済みました。

一発で完成はしません。表現・数値・固有名詞は必ず自分で確認を。ただ、土台があるだけで全然違う。 白紙からと、修正の出発点があるのとでは、時間も消耗も大きく変わります。


STEP 3:スライド化(学会ならGemini、院内発表ならNotebookLM)

用途によってツールの使い分けが正解です。

スライド化ツールの使い分け

パターンA:学会発表(PowerPoint形式が必要な場合)→ Gemini

GeminiにPowerPoint形式でスライド構成を出力してもらい、そのままPowerPointで仕上げます。

以下の抄録をもとに、学会発表用のスライド構成を作ってください。
PowerPoint(.pptx)形式で出力し、各スライドのタイトルと
書くべき内容を箇条書きで示してください。
スライド枚数は発表10分を想定した枚数で。

【抄録】
(抄録のテキストを貼り付け)

シンプルな構成で出てくるので、「情報を整理して伝える」学会発表向き。

パターンB:院内発表・見た目にこだわりたい場合 → NotebookLM

NotebookLMは自分が渡した資料からしかソースを取りません。 余計な情報が混入しない安心感が特徴です。

手順はシンプル。

  1. NotebookLMを開き、新しいノートブックを作成
  2. Wordのまとめや抄録をアップロード
  3. 「このノートの内容でスライドを作成」を選択

グラフィカルでデザイン性の高い仕上がり。院内勉強会やカンファレンスの発表に向いています。

ただしNotebookLMの出力はPDF形式。文字や配置を細かく直したい場合は手間がかかります。「デザインはこれでOK、内容だけ確認したい」用途向き。細部まで修正したい学会発表はパターンAが正解です。

逆順もOK。 データや考えを最初からNotebookLMに投げて、抄録もスライドもまとめて作る方法もあります。


STEP 4:語尾・表現の修正もAIに任せる(30分→5秒の体験談)

ここが一番「AIを使ってよかった」と感じた瞬間。

AIを使う前と後

上司から「語尾をですます調からである調に変えて」と指摘を受けたとき。

以前なら、A4一枚の中の語尾を1箇所ずつ確認・変換・見直し。それだけで10〜30分の作業でした。

このときはAIに一言投げました。

この文章全体をです・ます調からである調に変えてください。
表現や内容は変えず、語尾のみ変更してください。

(抄録のテキストを貼り付け)

5秒で完了。

率直に言うと、楽チンでした。語尾変換に時間を取られない。その分、他のことに時間が使える。「現場に出ようか」となる。それだけのことなんですが、それが大きい。

語尾変換以外にも使えるパターン。

  • 「全体をもう少し硬い表現に統一して(学会発表らしく)」
  • 「この段落をもっと簡潔に短くして」
  • 「専門用語に説明を補足して」

細かい言葉の調整で何十分も使っていた時間が、一言で終わる。ここだけでも、使う価値はあります。


注意点:AIの抄録は必ず自分で確認する

最後に、正直に伝えておきたいこと。

AIが作った抄録は、必ず自分で読み直す。 これは絶対です。

特に要注意の箇所。

  • 数値・データの正確性: 「それらしい数字」を作ることがあります。自分のデータと必ず照合を
  • 因果関係の正しさ: 「論理の破綻がないか」と指示しても見落とすことあり
  • 専門用語の使い方: 意味が微妙にずれることがあります
  • 個人情報・患者情報: AIに渡す前に必ず仮名化(「利用者A」「PT B」「当施設」など)

AIは「文章を整える道具」。内容の正確性と最終的な責任は、発表者である自分にあります。指導者・上司のチェックも引き続き必要です。


まとめ

ステップ作業使うツール
STEP 1伝えたいことをWordに整理Word / Googleドキュメント
STEP 2抄録を作成Claude / Gemini / ChatGPT
STEP 3スライド化Gemini(学会)/ NotebookLM(院内)
STEP 4語尾・表現の修正Claude / Gemini

Before: 抄録〜スライド完成まで2週間〜1ヶ月
After: 考えがまとまれば2時間

準備の負担が変われば、発表の中身に使える時間も変わります。


明日できる1アクション

過去に発表したときの資料(Wordや手書きのメモ)を1つ開いてみてください。

「これをAIに渡したら抄録にできるか」と眺めるだけでOK。試す前の一歩は、素材を手元に置くことから。


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※ NotebookLM・GeminiのUI・機能は更新される場合があります。画面の表示が異なる場合は、公式ヘルプを合わせてご確認ください。