大型のサイコロとWebカメラを使った、高齢者のリハビリテーション用ツールを作っています。
画面に出た目標の数を見て、3つのサイコロを動かし、計算式を作るゲームです。カメラが式を読み取り、画面に表示します。
目指しているのは、計算問題を解くだけの課題ではありません。
- サイコロに手を伸ばす
- 数字や記号を目で見る
- 並びを確認する
- 目標の数になるように考える
- 答えを決めて反応する
こうした工程を、一つの活動の中に入れたいと考えています。
一人で取り組むだけでなく、「それで合っているかな」「次はどうする?」と、周りの人ともやり取りが生まれる形が理想です。答えを一緒に考えたり、できたことを一緒に喜んだりできる時間をつくりたいと思っています。
実際に手で動かせる道具にする
きっかけは、テレビでサイコロを使って計算するゲームを見たことでした。
身近な道具を使い、見ている人も一緒に考えられる。その仕組みをリハビリテーションの場に取り入れたら、面白い活動になるかもしれないと思いました。
タブレットの画面だけで完結するのではなく、実際に手で触れられるものにしたい。そこで、大きなサイコロを使う形を考えています。
サイコロは3つです。数字のサイコロが2つ、足し算と引き算の記号が出るサイコロが1つあります。役割が分かるよう、数字と記号は色でも区別しています。
カメラは、ゲームを進めるために使う
サイコロの面には、カメラが読める白黒のマーカーを貼っています。カメラが3つの面を読み取り、式として画面に表示します。

サイコロ3個をカメラで読み取り、式を表示する認識テスト。開発中の画面です。
カメラを使う目的は、認識の技術を見せることではありません。今どんな式になっているのかを画面で共有し、ゲームを進めやすくするためです。
一瞬だけ違う数字を読んだだけで答えを確定しないよう、同じ並びを安定して読み取れてから表示するようにしています。実際の場では、手や影、サイコロの向きなどで読み取り方が変わるためです。
計算だけの課題にしないために
作るときに、特に大切にしていることが4つあります。
- 見やすいこと。数字、目標、正解や間違いを大きく表示する
- 操作しやすいこと。複雑なボタン操作を増やさず、サイコロを動かすことに集中できるようにする
- 間違えても続けられること。誤答で終わりにせず、同じ問題をもう一度考えられるようにする
- 難しさを選べること。足し算だけから始め、慣れたら引き算を含む問題へ進める
正解することだけが目的ではありません。どうすれば目標の数になるかを考え、やり直し、周りと話す。その過程も活動の一部です。
いまは、使いやすさを確かめる段階
基本のゲームの流れ、正誤の判定、結果の記録までは動く形になっています。いまは、実際に使うWindowsパソコンで、カメラ、音、操作、結果保存が問題なく動くかを確かめる段階です。
作りながら見直しているのは、技術だけではありません。
もっと見やすくできないか。もっと操作しやすくできないか。こうすれば楽しんでもらえるのではないか。活動として、もう少し意味のあるものにできるのではないか。
そんな問いを繰り返しながら、文字の大きさ、色、問題の出し方、音の出し方を少しずつ直しています。この調整を続けられることが、いま一番楽しいところです。
これから見たいこと
まだ、リハビリテーションとしての効果を結論づける段階ではありません。
まずは、実際に触ったときに分かりやすいか、無理なく続けられるか、周りとの会話が生まれるかを見ていきます。使う人や場面によって、見やすい大きさも、ちょうどよい難しさも変わるはずです。
完成品を一度作って終わりにするのではなく、現場の反応を見ながら、少しずつ育てていきます。